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母子家庭が生活保護を受けるのはずるい?最低限度の生活とは

【目次】

  • 生活保護とは
  • 母子家庭の平均月収
  • 母子家庭に支給される生活保護費
  • 生活保護を受給できる条件
  • 生活保護総合支援ほゴリラの2つのサポート
  • 厚生労働省が行なった「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、全国の母子家庭世帯数は約120万世帯に及び、母の勤務形態がパート・アルバイト等の世帯は約40%を占めます。このように、一般世帯と比較すると収入が低い傾向にある母子家庭ですが、一部の人からは「母子家庭でも頑張って働いている人だっているのに、生活保護を受給しているのは"ずるい"」というような意見がネット上などで散見されます。

    本記事では、母子家庭が生活保護を受給するのはずるいことなのか?生活保護制度に基づいて解説していきます。生活保護に対するイメージの回復や、これから生活保護の受給をお考えの方の背中を押すことができれば幸いです。
  • 生活保護とは

  • 生活保護とは、日本国憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」に基づいて設立された制度です。生活に困窮してしまった方は、生活保護を申請することで国が定めた最低限度の生活が保障されます。
  • 生活保護は国民に与えられた平等な権利

  • 生活保護を受給するには後述するいくつかの条件を満たしている必要があります。しかし、逆を言えば条件さえ満たしていれば日本国民全員に受給する権利があります。そのため、生活保護を受給することに関して"ずるい"という考え方は正しいとは言えないのではないでしょうか。
  • 母子家庭の平均月収

  • 上記の厚生労働省の調べによると、母子家庭の就労による平均年収は236万円と報告されています。しかし冒頭でも解説したように、母子家庭の約40%がパート・アルバイトです。加えて約50%が正規雇用者で、5%が自営業になりますので、この55%が平均年収を引き上げていると考えると、家庭の事情でパート・アルバイトでしか働けない世帯の収入は236万円よりも少ない世帯が多いことが推測できます。
    参考までに「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」の一部を下記に抜粋します。
  • 母子世帯と父子世帯の状況 母子世帯 父子世帯
    世帯数 119.5万世帯 14.9万世帯
    就業状況 86.3% 88.1%
    就業者のうち 正規の職員・従業員 44.8% 69.9%
    うち 自営業 5.0% 14.8%
    うち パート・アルバイト等 38.8% 4.9%
    平均年間就労収入 236万円 496万円
  • 母子家庭に支給される生活保護費

  • 上記で母子家庭の平均年収をご紹介しましたが、日本の平均年収は450万円程度と言われているため、平均的な生活を送れるだけの収入を得ている世帯が少ないことがおわかりいただけたかと思います。
    一方で、国の定める最低限度の生活が保障される生活保護ではいくら支給されるのでしょうか。以下で日本の主要都市である「政令指定都市」で支給される毎月の生活保護費を世帯人数別でご紹介しますので、比較してみましょう。
  • 母と18歳未満の児童1名(2人世帯)の場合

  • 主要都市の生活保護費 生活扶助(生活費) 住宅扶助(家賃) 児童養育加算 母子加算 支給額合計
    東京23区 123,780円 64,000円 10,190円 18,800円 216,770円
    大阪市 123,780円 48,000円 10,190円 18,800円 200,770円
    名古屋市 123,780円 44,000円 10,190円 18,800円 196,770円
    京都市 123,780円 48,000円 10,190円 18,800円 200,770円
    横浜市 123,780円 62,000円 10,190円 18,800円 214,770円
    神戸市 123,780円 48,000円 10,190円 18,800円 200,770円
    北九州市 119,630円 35,000円 10,190円 18,800円 183,620円
    札幌市 119,630円 43,000円 10,190円 18,800円 191,620円
    川崎市 123,780円 64,000円 10,190円 18,800円 216,770円
    福岡市 119,630円 43,000円 10,190円 18,800円 191,620円
    広島市 119,630円 46,000円 10,190円 18,800円 194,620円
    仙台市 119,630円 44,000円 10,190円 18,800円 192,620円
    千葉市 119,630円 49,000円 10,190円 18,800円 197,620円
    さいたま市 123,780円 54,000円 10,190円 18,800円 206,770円
    静岡市 115,750円 47,000円 10,190円 17,400円 190,340円
    堺市 123,780円 46,000円 10,190円 18,800円 198,770円
    新潟市 115,750円 43,000円 10,190円 17,400円 186,340円
    浜松市 115,750円 45,000円 10,190円 17,400円 188,340円
    岡山市 119,630円 44,000円 10,190円 18,800円 192,620円
    相模原市 119,630円 49,000円 10,190円 18,800円 197,620円
    熊本市 115,750円 37,000円 10,190円 17,400円 180,340円
  • 母と18歳未満の児童2名(3人世帯)の場合

  • 主要都市の生活保護費 生活扶助(生活費) 住宅扶助(家賃) 児童養育加算 母子加算 支給額合計
    東京23区 158,560円 69,800円 20,380円 23,600円 272,340円
    大阪市 158,560円 52,000円 20,380円 23,600円 254,540円
    名古屋市 158,560円 48,000円 20,380円 23,600円 250,540円
    京都市 158,560円 52,000円 20,380円 23,600円 254,540円
    横浜市 158,560円 68,000円 20,380円 23,600円 270,540円
    神戸市 158,560円 52,000円 20,380円 23,600円 254,540円
    北九州市 151,446円 38,000円 20,380円 23,600円 233,426円
    札幌市 151,446円 46,000円 20,380円 23,600円 241,426円
    川崎市 158,560円 69,800円 20,380円 23,600円 272,340円
    福岡市 151,446円 47,000円 20,380円 23,600円 242,426円
    広島市 151,446円 49,000円 20,380円 23,600円 244,426円
    仙台市 151,446円 48,000円 20,380円 23,600円 243,426円
    千葉市 151,446円 53,000円 20,380円 23,600円 248,426円
    さいたま市 158,560円 59,000円 20,380円 23,600円 261,540円
    静岡市 144,290円 51,000円 20,380円 21,800円 237,470円
    堺市 158,560円 49,000円 20,380円 23,600円 251,540円
    新潟市 144,290円 46,200円 20,380円 21,800円 232,670円
    浜松市 144,290円 49,000円 20,380円 21,800円 235,470円
    岡山市 151,446円 48,000円 20,380円 23,600円 243,426円
    相模原市 151,446円 53,000円 20,380円 23,600円 248,426円
    熊本市 144,290円 40,400円 20,380円 21,800円 226,870円
  • 母と18歳未満の児童3名(4人世帯)の場合

  • 主要都市の生活保護費 生活扶助(生活費) 住宅扶助(家賃) 児童養育加算 母子加算 支給額合計
    東京23区 190,349円 69,800円 30,570円 26,500円 317,219円
    大阪市 190,349円 52,000円 30,570円 26,500円 299,419円
    名古屋市 190,349円 48,000円 30,570円 26,500円 295,419円
    京都市 190,349円 52,000円 30,570円 26,500円 299,419円
    横浜市 190,349円 68,000円 30,570円 26,500円 315,419円
    神戸市 190,349円 52,000円 30,570円 26,500円 299,419円
    北九州市 181,807円 38,000円 30,570円 26,500円 276,877円
    札幌市 181,807円 46,000円 30,570円 26,500円 284,877円
    川崎市 190,349円 69,800円 30,570円 26,500円 317,219円
    福岡市 181,807円 47,000円 30,570円 26,500円 285,877円
    広島市 181,807円 49,000円 30,570円 26,500円 287,877円
    仙台市 181,807円 48,000円 30,570円 26,500円 286,877円
    千葉市 181,807円 53,000円 30,570円 26,500円 291,877円
    さいたま市 190,349円 59,000円 30,570円 26,500円 306,419円
    静岡市 173,232円 51,000円 30,570円 24,500円 279,302円
    堺市 190,349円 49,000円 30,570円 26,500円 296,419円
    新潟市 173,232円 46,200円 30,570円 24,500円 274,502円
    浜松市 173,232円 49,000円 30,570円 24,500円 277,302円
    岡山市 181,807円 48,000円 30,570円 26,500円 286,877円
    相模原市 181,807円 53,000円 30,570円 26,500円 265,377円
    熊本市 173,232円 40,400円 30,570円 24,500円 268,702円
  • このように、世帯の人数が増えるにつれ生活保護費が増額することがお分かりいただけたかと思います。また、前提として生活保護は生活に困窮してしまった方が経済的に自立することを目的とした制度ですので、働ける方は働かなければなりません。母子家庭で生活保護を受給されている方は、パートなどで働きながら受給している世帯も少なくありませんので、理解を深めたい方はこちらの記事をお読みいただけますと幸いです。
    生活保護は働きながら受給可能!覚えておくべき3つのポイント
  • 生活保護の8つの扶助と9つの加算

  • 生活保護には生活費となる「生活扶助」や、住居の家賃として支給される「住宅扶助」など、全部で8つの扶助があります。扶助は用途が明確になっており、例えば病気などで医療機関にかかりたい場合は「医療扶助」が適用されるため、生活費から医療費を捻出する必要がありません。生活費はあくまで生活費として利用することができるのです。これは、生活扶助の金額は国が定めた最低限必要な生活費であるため、何かしらのアクシデントがあった場合に生活費から支出してしまうようなことがあれば、最低限の生活を営めなくなってしまうためです。
    扶助について詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
    生活保護の扶助の種類は8つ!扶助の内容をわかりやすく解説
  • 扶助の他にも、生活保護には9つの加算があります。上記の表にもあるように、母子家庭の場合は18歳未満の児童がいる世帯に支給される「児童養育加算」や、ひとり親世帯に支給される「母子加算」が適用されます。このように、一定の条件を満たしている場合に限り加算が適用されますが、扶助とは異なり用途が明確ではないため、単純に生活費が増額するということになります。これは何かしらのハンデがある方々にも平等に生活してもらうためです。
    加算についてはこちらの記事で解説しています。
    生活保護の9つある加算を一覧でわかりやすく解説します!
  • 生活保護を受給できる条件

  • 上記で母子家庭に支給される生活保護費について解説しましたが、現在の収入や生活環境などから、生活保護の受給をご検討されている方もいらっしゃるかと思います。生活保護を受給できる条件は以下の3つになります。
  • 収入が生活保護費より少ない

  • 1つ目の条件は、収入が生活保護費よりも少ないことです。繰り返しになりますが、生活保護費は国が定めた最低限度の国が定めた最低限度生活費です。そのため、生活保護費よりも収入が少ないということは、国が定めた最低限度の生活を営めていないことになりますので、生活保護の対象となります。

    上記でもご紹介したように、生活保護費は地域や世帯人数等によって支給額が異なりますので、お住まいの地域の生活保護費よりも収入が少ないことが条件です。
  • 資産を所有していない

  • 2つ目の条件は、貯金や持ち家、車などの資産を所有していないことです。仮に収入が生活保護費未満であっても、貯金や売却可能な資産を所有している場合は生活費を捻出することができるため、生活保護の対象にはなりません。しかし、お住まいの地域や生活に必要だと認められる場合においては、車の所有が認められることがありますので、福祉事務所に確認しましょう。
  • 親族からの援助が受けられない

  • 3つ目の条件は、親族からの援助が受けられないことです。上記2つの条件を満たしていても、親族から経済的な援助が見込める場合は生活保護の対象にはなりません。そのため、生活保護を申請すると原則3親等内の親族に「扶養照会」が行われます。

    扶養照会とは、親族に申請者を経済的に支援することが可能か確認するためのものであり、親族が扶養できないと返事をした場合に生活保護を受給することができます。しかし、扶養照会をされることで親族に生活保護を申請したことを知られたくない方もいらっしゃると思います。扶養照会は原則行われますが、条件次第では扶養照会を行わない場合もありますので、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
    生活保護の扶養照会は断り方があります!断り方を簡単に解説
  • 生活保護総合支援ほゴリラの2つのサポート

  • ここまで、母子家庭の平均年収や母子家庭が生活保護を受給した場合に支給される金額などを解説しました。母子家庭の平均年収は日本全体の平均年収の半分程度であることや、生活保護費は地域や世帯人数等によって支給額が変動することなどがお分かりいただけたかと思います。

    繰り返しになりますが、生活保護は国が定めた最低限度の生活を保証する制度です。受給することはずるいことではありません。条件を満たしていれば誰でも受給することができる日本のセーフティーネットです。
    生活保護を受けている母子家庭の方が周りにいて、ご自身よりも良い生活をしていると感じる方がもしいらっしゃいましたら、その家庭がずるいのではなくご自身が国の定める最低限度の生活を営めていない可能性があります。お子様やご自身の生活を良くするためにも一度、生活保護を受ける条件を満たしているか確認してみるのはいかがでしょうか。
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